【LT中級2】何となくやっていませんか?競合リスク解析

2.21(土)11:00~11:30

【企画趣旨】

生存時間データでは,関心のあるイベントの発生前に別のイベント(競合リスク)が起こることにより,関心イベントを観測できなくなることがしばしばあります.がん領域におけるがん死亡と他原因死亡,循環器領域における心血管イベントと非心血管死が代表例です.本講演では,生存時間解析の基本から出発し,競合リスクが存在する状況で何を推定対象(estimand)とするか,どの指標・モデルが適切か,そして結果をどう解釈・報告するかを,理論と実務の双方から直感的解釈に焦点を当てて体系的に整理します.特に,累積発生関数(CIF: cumulative incidence function)と原因別ハザード(cause-specific hazard),部分分布ハザード(subdistribution hazard)の関係を明確化し,Fine–Grayモデルと原因別Coxモデルの使い分けと結果の読み方を,実データ例を交えて解説します.さらに,関連する近年の議論についても,できる限り直感的に理解できる形で紹介します.

【演者】

小向 翔

東京医科大学i医学部 医療データサイエンス分野

略歴:
岩手県久慈市出身.2017年に久留米大学大学院医学研究科博士課程を修了。2016年8月から2017年3月まで久留米大学バイオ統計センターで助教として勤務し,学位取得後1年間,佐賀大学医学部附属病院臨床研究センターで特任助教として勤務.その後,2024年12月まで大阪大学大学院医学系研究科医学統計学教室にて助教を務め,2025年1月から現職である東京医科大学医療データサイエンス分野准教授として勤務.