【LT初級2】臨床研究論文を発信したければ、“デザイン力”を磨きなさい
2.21(土)10:20~10:50
【企画趣旨】
東大・京大・九大の公衆衛生大学院や横浜市大ヘルスデータサイエンス専攻などへ、臨床医が学びに行くのが当たり前になった。これは、臨床研究が「ちょっと統計をかじれば何とかなる」といった単純なものではなく、論文として世界に発生するためには、1時間程度では吸収しきれないほどの、体系的な知識やスキルが不可欠であることを、多くの臨床医が痛感していることを物語っている。
そこで本セッションでは、臨床研究論文を発信するために必要な研究デザイン力について、自験例を交えながら解説する。現職が福島なので東日本大震災と出生率(Kurita N. JAMA Network Open 2019年)を題材とする。解説を通じて、結局のところ本当に大事なのはリサーチ・クエスチョンと研究デザインを練ることだったのか!と、初学者に気が付いていただくことを目標とする。
【演者】
栗田 宜明
総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医・米国内科学会上級会員(FACP)。
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栗田 宜明
- 学歴:
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- 2004年東京大学医学部 医学科卒業。
- 2010年京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野に進学。臨床疫学の研鑽を積み、2014年に博士(医学)を取得。
- 職歴:
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- 2004年 - 2006年三井記念病院 研修医
- 2006年 - 2010年三井記念病院 内科(腎臓内科)
- 2014年 - 2016年福島県立医科大学 臨床研究イノベーションセンター 講師
- 2016年 - 現在福島県立医科大学附属病院 臨床研究教育推進部 部長 兼 准教授
- 2019年 - 現在福島県立医科大学大学院 医学研究科 臨床疫学分野 特任教授
- 2024年 - 現在昭和大学医学部内科学講座 リウマチ・膠原病内科学部門 客員教授
大学院授業では、臨床研究デザイン、統計解析の講義・ハンズオン実習、治療・診断に関する臨床研究の実践など、4科目を担当。受講生からBritish Journal of Surgery [IF=6.9], CJASN [IF=9.8]等の臨床研究論文が発信されている。大学院生の研究解析・論文化を指導し、Clinical Nutrition [IF=6.3], Emerging Infectious Diseases [IF=11.8] 等の雑誌に掲載させて医学博士を輩出している。
- 受賞歴:
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- 2025年日本腎臓学会 Clinical Scientist Award受賞
- 2019年日本臨床疫学会 第3回年次学術大会 専門家優秀賞
- 2018年日本臨床疫学会 第2回年次学術大会 優秀口演賞
- 研究歴:
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AJKD [IF=13.2], CJASN [IF=9.8], J Gen Intern Med [IF=6.5], Rheumatology (Oxford) [IF=7.0]等を含め、査読つき英文論文126編(うち筆頭著者34編、責任著者・最終著者78編)を発表。自筆による競争的研究資金の獲得額は基盤研究B、挑戦的萌芽研究の研究代表者などで7,748万円。博士研究員の科研費取得も指導している。
日本臨床疫学会の英文誌Annals of Clinical EpidemiologyのAssociate Editorを担当。その他、最近の業績は:
- 治療の有効性に関する研究
レセプトデータを用いた骨粗鬆症治療薬の骨折予防効果の比較(Bone 2025) - 診断の有用性に関する研究
サルコペニアのスクリーニング手法を開発し(U-TEST診断法 British Journal of Nutrition 2021)、尿中バイオマーカーC-メガリンから糖尿病性腎症の発生を予測する診断研究を行った(J Nephrol 2022, Diabetes Res Clin Pract 2022, Acta Diabetol 2023)。 - PRO(患者報告型アウトカム)の開発や応用の研究
医師の信頼度の尺度開発(J Gen Intern Med 2022)や、健康関連ホープ尺度(HR-Hope scale)を京都大と共同開発し(Ann Clin Epidemiol 2019)、膠原病患者で主治医への信頼とホープが服薬アドヒアランスに関係することを示した(Rheumatology 2023)。 - 疫学・公衆衛生学に関する研究
東日本大震災による福島市の出生率への影響を評価した研究 (JAMA Network Open 2019)、軽症COVID-19の重症化を早期に予測するスコアの開発(BMC Pulm Med 2023)。
- 治療の有効性に関する研究