【産学連携委員会企画】臨床疫学者のためのSaMD(医療用ソフトウェア)研究開発の事始め

11.2/13:15〜14:45

【企画趣旨】

近年、SaMD(Software as Medical Device、医療用ソフトウェア)が臨床現場で使われるようになってきた。実際に生活習慣病の管理やAIを用いた診断支援ソフトウェアなどが認可され、保険収載されている。今後も生成AIを用いたソフトウェアも出現するだろう。医薬品開発に比べ、医療用ソフトウェアの開発はコストも低く、開発スピードも短いことから若い医学研究者にとっても関心が高く、医薬品のリアルワールドデータ研究よりもデータ収集が行い易いという意見もある。
今回、産官学連携委員会企画のシンポジウムでは開発、規制双方から演者が登壇し、実際にSaMDを開発するために必要なことについて最先端の知識を得るとともに、ディスカッションを行う。

【演者】

高橋 彩来
厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課
タイトル:
我が国のプログラム医療機器の制度
要旨:
厚生労働省では、令和2年11月に公表した「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略(通称:「DASH for SaMD」)」及び令和5年9月に公表した「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略2(通称:「DASH for SaMD2」)」に基づき、プログラム医療機器の特性を踏まえた早期実用化のための体制強化や日本発プログラム医療機器の国際展開支援等に取り組んでおり、将来的には、日本発プログラム医療機器の研究開発の加速と国際市場への展開推進を目指している。また、令和5年度よりプログラム医療機器の特性を踏まえた二段階承認の考え方を示した他、令和4年度からはプログラム医療機器に係る優先的な審査等を開始している。本講演では、プログラム医療機器の規制動向について紹介する。
略歴:
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に入社後、医療機器審査部及び医療機器安全対策課を経て、2023年4月より現職。
PMDAの医療機器審査部門では、心臓疾患や末梢循疾患に使用されるクラスIVの血管内治療デバイスを中心に審査を担当。
医療機器安全対策部門では、医療機器や体外診断用医薬品の安全対策、海外規制当局との調整業務を中心に担当。
現職では、医療機器プログラムを含む医療機器全般の市販前審査に関する業務を担当している。
弓場 充
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 プログラム医療機器審査室
早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所 招聘研究員
広島大学 客員准教授

  • 弓場 充
タイトル:
AIを活用したプログラム医療機器審査の考え方
要旨:
薬機法における医療機器の定義に該当する製品は、その規制に対応しなければ製造販売ができない。そのうち、一部の製品は承認のような認可を得るために審査を受けることになる。認可や審査が必要ということはよく知られていると思うが、審査で具体的にどのような議論がされるのかはあまりご存じない方もいるかもしれない。本講演では、規制当局の視点から承認申請を目指す開発者に留意していただきたいポイントについて実例を踏まえて説明し、私見を交えながら機械学習を用いた医療機器(Machine Learning-enabled Medical Device; MLMD)に関する議論について紹介する。
略歴:
  • 2018.3
    東北大学大学院 医工学研究科 修了
  • 2018.4
    独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医療機器審査第二部
  • 2019.4
    早稲田大学大学院先進理工学研究科共同先端生命医科学専攻 博士後期課程入学
  • 2020.3
    早稲田大学大学院先進理工学研究科共同先端生命医科学専攻 助手
  • 2023.3
    早稲田大学大学院先進理工学研究科共同先端生命医科学専攻博士後期課程修了
  • 2023.4
    独立行政法人医薬品医療機器総合機構 プログラム医療機器審査室
  • 2023.4
    早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所 招聘研究員
  • 2023.6
    広島大学 学術・社会連携室オープンイノベーション本部産学連携部バイオデザイン部門 客員准教授
岩村 亮
富士通株式会社 ソーシャルソリューション事業部 Primary Care部

  • 岩村 亮
タイトル:
電子カルテデータを利用したモデル開発およびSaMD開発の取り組み
要旨:
電子カルテデータには,患者の診療記録,検査結果,処方情報など,膨大な医療情報が蓄積されている.
それらのデータを活用することで,医療現場の効率化や患者の重症化予防などにつながり,新たな医療の可能性を秘めている.
本講演では,電子カルテベンダーである富士通のAIモデル開発や医療機器プログラム開発に対する取り組みを交えながら,
電子カルテデータを利用することの課題や製品化に向けての取り組みについて紹介する.
略歴:
  • 2016.03
    東北大工学部情報知能システム総合学科 卒業
  • 2018.03
    東北大学大学院医工学研究科 修了
  • 2018.04
    富士通新潟システムズ 入社
  • 2018.09
    富士通株式会社 第二ヘルスケアソリューション事業本部
    第三ソリューション事業部 第一ソリューション開発部
  • 2022.10
    富士通Japan株式会社 ヘルスケアソリューション開発本部
    デジタルヘルスケアソリューション統括部
  • 2024.04
    富士通株式会社 ソーシャルソリューション事業部 Primary Care部

【座長】

宮田 俊男
早稲田大学 教授
略歴:
  • 1999年
    早稲田大学理工学部機械工学科卒業
  • 2003年
    大阪大学医学部医学科卒業
  • 2003年
    大阪大学第一外科入局
  • 2009年
    大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科学特任助教を経て、厚生労働省に入省
  • 2011年
    厚生労働省医薬食品局審査管理課課長補佐
  • 2013年
    内閣官房健康・医療戦略室補佐官、国立がん研究センター政策室長
  • 2015年
    大阪大学産学共創本部特任教授
  • 2016年
    みいクリニック代々木 院長
  • 2017年
    医療法人DEN 理事長、厚生労働省参与2020年 早稲田大学理工学術院教授