【ランチタイムセミナー】マッチングか?重み付きか?傾向スコア法を再考する

11.2/12:00〜13:00

【要旨】

治療法のアウトカムに対する因果効果を評価するための方法論のひとつとして傾向スコア法が知られており、現在では、データベース研究を始めとする観察研究のデータ解析において頻用されている。傾向スコア法は、アウトカムに対する回帰モデルで交絡調整をする場合と比べて、調整前後の患者背景を群間比較して妥当性を検討できる事などが利点として知られている。一方で、傾向スコア法には、マッチング、層別解析、IPTW法を代表とする種々の重み付き法など、複数の選択肢があるものの、それらの相対的な利点・欠点や使い分けについては十分な指針がないのが現状である。本セッションでは、傾向スコア法を主解析とする前向き観察研究において、マッチング法と重み付き法の解析結果に齟齬が生じた事例を取り上げ、これらの手法の違いについて統計的な観点から整理する。また、最新の話題として、これらの手法を予備的なデータ解析に基づいて事前選択する試みについても紹介する。

【演者】

田栗 正隆
東京医科大学 教授
略歴:
2010年 東京大学大学院医学系研究科博士後期課程修了。横浜市立大学医学部准教授、横浜市立大学データサイエンス学部教授を経て、2022年4月より東京医科大学医療データサイエンス分野主任教授。日本計量生物学会理事・評議員、医薬品医療機器総合機構専門委員、日本医療研究開発機構課題評価委員、Japanese Journal of Statistics and Data Science, Associate Editor; Journal of Epidemiology, Associate Editor; The Lancet Journals, Statistical Advisor等を歴任。研究テーマは疫学・臨床研究方法論、統計的因果推論。

【座長】

堺 伸也
イーピーエス株式会社 リアルワールドエビデンス事業本部 本部長
略歴:
1998年3月東北大学理学部数学科を卒業、2004年3月東京理科大学大学院工学研究科経営工学専攻医薬統計コースを修了。1998年4月にイーピーエス株式会社へ統計解析担当者として入社し、2009年10月より統計解析部の部長を務め、データベース研究支援のサービス提供開始に携わる。2022年4月よりリアルワールドエビデンス事業本部の本部長として、製造販売後に関するCRO事業を統括しつつ、新規サービスについて構築を推進する。